家との出会い

家探しの第一条件は庭と縁側があることだった。
賃貸情報サイトに載っていたのは1枚の写真と基本情報だけだった。
でもその写真には庭と縁側が写っていた。
不動産屋さんにアポイントをとり物件を見に行く。

古い家だった。でもなんか味がある家だった。
大屋さんのおばあちゃんが家の中を案内してくれた。
縁側に腰掛け、畳の部屋で大の字になって寝転んでみた。
悪くないかも。

でも少し迷っていた。
家が古く本当にここで暮らしていけるだろうか?
築浅できれいなアパートにしようかな?

良い家があれば決めようぐらいに考えていて
特にタイムリミットがあるわけではなかったので
別の物件をみたりしながらゆっくり考えようと
思った。

次の物件を見るために車が置いてある駐車場に戻る途中
大家のおばあちゃんが追っかけてきてくれた。
コーヒーが入ったので飲んでいってくださいと言ってくれた。

不動産屋の若い女の子があからさまに嫌な顔をした。
少しでも多くの物件をみてもらい契約してもらいたいからだ。

僕の心は不動産屋さんとは逆だった。
足の悪いおばあちゃんが僕達を追いかけてくれて
純粋にもてなそうとしてくれた。
僕は少し感動していたのかもしれない。

もう一度、家の中に案内されコーヒーとお茶菓子をいただいた。
帰りに余ったお茶菓子を持っていきなさいと僕の鞄に詰めてくれた。

もう僕の心はこの家を借りることに決まっていた。

素敵な大家さんが案内してくれたこの家に住みたいと
いう気持ちになってしまったから。