一人深夜特急

静寂の中、激しい雨音だけが響く深夜の無人駅で私はたたずんでいた。

唯一の情報収集と連絡手段の携帯電話は力つき長い眠りについている。

少しずつだが状況を理解しはじめた私の心は不安からやがて絶望に包まれていった。

 

さかのぼる事5時間前。

東京の友人達と久しぶりにお酒を飲んでいた。

昔とかわらずくだらない話で盛り上がれるのはとても嬉しい。

まるで昨日バイバイしてまた今日会ったように錯覚する。

 

時間はあっというまに過ぎ終電の時間が来る。

またの再会を楽しみにし友人達と別れ電車にのる。

 

楽しさの余韻と電車の心地よい揺れでいつの間にか眠っていた。

アナウンスで『次の停車駅は保田です』

えぇ!

私の降りるはずの次の駅名をアナウンスしている。

なぜ!?

車内の電光掲示板も『保田』と書かれている。

パニック............

 

乗り過ごした!!!

下り線の最終電車なのでもう引き返す為の上り線はない。

ヤバい。帰れない。

 

しょうがないのでタクシーで帰ろう。

駅員のいない改札を出て駅前のロータリーへ。

 

一台も車がいない。

パニックアゲイン!!

 

そうだ。電話でタクシー会社を調べて駅前に来てもらおう。

鞄から携帯を出す。

バッテリーが切れて電源が入らない。

全てが終わった。

私に出来る事は駅の待合室で始発まで待つ事だけ。

 

敬愛する沢木耕太郎先生も旅の途中で虚しさや絶望感を感じたのだろうか。

私の場合は南房総の無人駅だけど。

 

蛍光灯の光に体当たりする虫が気になり眠れないまま

約6時間待ってやっと始発に乗り帰る事が出来ました。