umikaguとバスの運転手さん

父親の顔を見る為に久しぶりに帰省する事に。

今まで東京までは電車を利用していたが

一本裏の通りから東京行きの高速バスが出ているらしい。

近くからバスが出ているなら利用してみよう。

外は梅雨の冷たい雨。


あれ!?傘ないじゃん。


引っ越してきて半年経つが家に傘が無い事に今気が付く。


恐るべしモータリゼーション。

 

ヤバい、バスの時間が迫って来ている。

とりあえず防水のマウンテンパーカーに袖を通す。

次は長靴を履き最後にハットをかぶる。


よし完璧だ。

 

屋根の無いバス停で10分ほど待つと東京行きのバスが来た。


勢い良く乗り込むと運転手さんが『凄いたたずまいですね』と言われた。


私の有り余る家具への情熱が溢れ出しそれを感じ取ってしまったんだね。

お客さんは私だけだったので運転手さんの後ろの席に着きしばらく会話を楽しんだ。


『芸術家ですか?』と質問する運転手さん。


『いえいえ家具屋です』と返す私。

 

私のロングヘアーのせいだろうか?

そういえば半年前に美容院に行った時は『ミュージシャンですか?』と言われたな。

 

話を聞くと運転手さんは宮古島出身で若い頃にこちらにで出来たらしい。

私も以前、沖縄に住んでいたので懐かし島話。

まるで南国に風が車内を吹き抜けるようだ。

千葉の田園風景がマングローブの群生地に見えてくる。

 

帰省を忘れて運転手さんと近くの居酒屋で泡盛でも飲みたい所だ。

しばらく会話を楽しんでいるとお客さんが乗り込んでくる。

 

連日の仕事の疲れかいつの間にかウトウトしていた。

気がつけば東京。

 

運転手さんに別れを告げ東京駅に向かう。

久しぶりの大都会。

ショーウインドーに写った私はトリコロールカラーのハットに

黄色のマウンテンパーカーと黄色の長靴。


運転手さんは『凄い格好ですね』と言いたかったんだね。