白里の太陽

その日、白里から大きな笑顔が消えた。

友人からの突然の電話。

携帯から届く声が言葉の意味を失い途中からただの音に変わった。

 

出会いは館山の音楽イベント出店。

大きなドラム缶からスパイスの混じったチキンの香ばしいかおりを立ち昇らせその店の周りには人の列が出来てた。

 

この時umikaguは内房で営業していて白里に移転が決まったばかり。

 

隣のブースで出店していた『MANGALA』のカヨコさん。

仲良くなり白里に移転することを話すと一人の男性を紹介してくれた。

浅黒く大きな体、えんじ色のTシャツの胸には『WARUNG』とプリントされていた。

先ほどの出店ブースでひときは目立っていた店のオーナーグッチマンさんだった。

 

カヨコさんが『来年から白里に移転する家具屋さん』と紹介してくれた。

グッチマンさんは『ヨロシクね』と大きな手で握手してくれた。

 

その時から数ヶ月後、umikaguは白里に移転した。

開店準備とオーダー制作に追われほぼ工房から出れない状況が続いた冬のある日。

グッチマンさんからfacebookにメッセージが届いた。

こちらからご挨拶に伺おうと思っていたのでさっそく夕飯を食べに『WARUNG』に向かう事に。

住所を調べるとumikaguから歩いて行ける距離。お酒好きの私にはありがたい。

 

南国のナイトマーケットを感じさせる素敵な店内。

あとでグッチマンさんに聞いたら『WARUNG』はインドネシア語で『屋台』の意味。

 

カウンターに座りさっそくイベントで気になっていた『ジャークチキン』を注文する。

香ばしい色合いになったスパイシーなチキンにマスタードとタバスコをかけて食べる。

『うまい』

思わず声が出た。

 

その後常連の方達がカウンターに座りその度に私を紹介してくてた。

内房から外房に。

多くの友人や仲間がいた場所からほぼ誰も知らない場所に。

 

話を聞いて欲しいときは自然と『WARUNG』に向かった。

 

その後も私の事を気にかけてくれてた。

地元を愛し出店仲間の事をいつも大事にする人だった。

 

同じイベントで私が売り上げに苦戦しているとグッチマンさんは『これもらっていくよ』とサインボードを手にした。

私は『前にそれ買っていただいてますよ』と言うと『全色そろえるんだよ』と照れくさそうに笑って言った。

 

出店が終わり店に戻って片付けをしていると『イベントの情報交換でもしながら飲まない?』と誘って頂いた。私よりグッチマンさんの方が百倍くらいイベントに詳しいのに私を気遣ったやさしい言葉だった。

 

最後にお会いした時は突然店に顔を出してくれて『残り物で悪いんだけど良かったら食べて』とジャークチキンを差し入れしていただいた。

 

皆を明るく照らすお日様のような人。

私もその日差しに救われた一人です。

本当にありがとうございました。