熱闘!実技試験 1日目

建築科に入校して3ヶ月。

夏休み前に今まで教えて頂いた実技の中間テストが3日間かけて行われる。

 

材木の長さは特別なものを除いて規格サイズになっている為、長さが必要なパーツは木材同士を繋ぎ合わせる必要がある。

 

その為の『継ぎ手』試験。

課題は

『腰掛け蟻継ぎ』

『腰掛け蟻継ぎ』

『追掛け大栓継ぎ』

 『台持ち継ぎ』

 

前の晩はワクワクしてたけど試験30分前になって急に緊張してきた。

目を閉じ精神統一。

『オレなら出来る』と

『I can fly!』 を交互に唱える。

 

教官の笛の合図で試験が開始した。

実習棟は午前中の気温で30度を超えていた。

私のボルテージも最高潮。

暑く熱い3日間が始まった。

画像 住宅建築専門用語事典より引用

まず試験用の木材に以前ご紹介した『墨つぼ』と竹から切り出した先端部分に墨を付着させ線を引く『墨差し』を使用して木材を加工する為の線を引いていく。

私、『墨つぼ』と『墨差し』が苦手です。

ちゃんと使いこなさないと正確な線が引けない。。。

 

そもそも『ペンや鉛筆っていう便利な物があるじゃん!』っていう思いが頭から離れないから『墨つぼ』と『墨差し』使いが上達しないのだろう。

 

でもこのトラディショナルアイテムを使いこなせているかもテストに含まれている。

頭の中を江戸時代にトリップさせる。

 

そう私は江戸の大工。ペンや鉛筆なんて存在しない世界と自分に言い聞かせ墨つぼを握る。

差し金(定規)で木材の中心を出し軽く記しをつけ墨つぼの糸を張る。

 

テンションを掛け糸を弾く。

縦のかすれた中心線が材木に着く。

はい失敗!!

江戸時代から現実に呼び戻される。

 

 

試験課題の4つの継ぎ手は授業で各2つは作っていてそれ以上は各々、授業前に早く来たり授業後に遅くまで残ったり足りない技術を必死に補っていた。もちろん私もその一人。

 

私の下手な部分は沢山あってキリがないのですがその中でも一番苦手なのが『墨つけ』

竹で出来たペンで線を引くと1mmくらい膨らんだ線になってしまい加工してみると継ぎ手に隙間が出来てしまう。

 

とにかく時間がかかっても『墨つけ』は丁寧に正確に進めた。

周りのクラスメートは続々と『墨つけ』を終わらして行く。

加工に入りノコギリやげんのう(金槌)の音が私を焦らせる。

 

ゆっくりと深呼吸をし再び目を閉じ今度は心の中で『I can fly!』を連呼する。

このままどこか遠くに飛んでいきたい気分を抑え指先に集中する。

 

だいぶ出遅れたがようやく『墨つけ』が終わり加工に突入。

多くのクラスメートは第一課題の『腰掛け蟻継ぎ』に入っている。

出来上がった順に実習等の後ろに課題が並べられていく。

 

教官は3日以内に4課題を作り上げる試験なので制限時間内に完成すれば出来上がった順番は評価に影響しないと言っていたがやはり焦る。

 

初日の終了2時間前にようやく第一課題が出来上がった。

後ろに並べに行く。

すでに出来上がったクラスメートの課題がうまく見える。

自分の下手さに苛立つ。

 

気分を落ち着かせ次の課題の加工に入る。

ここで私は1つの不安に襲われた。

4つの課題このスピードで終わるの???

試験課題が全て出来上がらないんじゃ採点出来ないよね。

それって失格じゃん。

やばいよ。

ノミとげんのうをもった手が小さく震えだす。

クラスメートの加工音が更に私を焦らせる。

 

再び心の中で『I can fly!』を連呼する。

ここまま現実逃避してサーフィンに行きたい気分を必死に抑え目の前の木材に向き合う。

『腰掛け蟻継ぎ』の半分の加工を残し1日目終了。

 

まったくペース配分がわからない。

 

先生に質問してみた。

『生徒目線の技術力で4つの継ぎ手はどのくらいの時間で作れば良いのでしょうか?』

 

『腰掛け蟻継ぎ 1時間』

『腰掛け蟻継ぎ 1時間半』

『追掛け大栓継ぎ 1時間』

 

『台持ち継ぎ 1時間半』だな。

 

試験1日で終わっちゃうじゃん!!

もう先生には質問しません!!!と言い残し家路についた試験初日でした。