初めてのケガ

家具制作をして6年目になる。

幸い今までケガといった事を経験しないで来る事が出来た。

これは私が極端に臆病な性格をしている事が関係していると自己分析している。

 

 

ケガしそうだなと思ったら無理をしないのが信条。(自分の仕事だから許されるのだけれども)

 

短い材料は無理して切らない。

極端に重すぎる家具の注文は受けない。

時間単位の仕事はしない。

など

 

そんな私の初めてのケガの話です。

日曜日の夕方ごろ以前きていただいたお客様とご友人様がご来店『ゆっくり見て行ってくださいね』と声を掛け領収書がもうない事に気がついた私。ウミカグの領収書は手作りなのでプリンターで出力して6分割に切り分ける。

カッティングマットの上で出力した領収書に定規を当てカッターを引く。

定規の軌道をずれたカッターの刃は添えた左手の人差し指の上を通りすぎた。

スローモーションのように痛みを感じ刃を受け止めた指からはゆっくりと蛇口をひねったように血が流れ出てくる。

 

思わす声が出た。

 

ガラスで仕切られた工房とお店。

お客さんが私を心配そうに見ている。

急いで傷を抑えティッシュでグルグル巻きにした。

 

平気そうな顔をしてお店に戻る。

 

お客さんから『大丈夫ですか?』と心配して頂き『切ってしまいした』とティッシュに巻かれた左手を見せる。

さっきはちょっとティッシュに血が染みていたくらいだったのにどんどん赤く染まっていく。

 

とりあえす傷口を心臓よりも高い位置にしようと思い左手を上げた状態で接客する斬新な家具屋。

血は出てるけど痛みは感じなかったのでお客さんとサーフィントークに夢中になってきた。

 

体勢がきついので左手を下げてさらに話に夢中になっているとお客さんの方から『左手上げなきゃ!』と注意していただく。

 

事情を知らない人が見たら左手を上げた半袖短パンのオジさんがお客さんに熱心に話しているおかしな光景だっただろう。

 

お客さんが帰り左手に意識を戻すと何故か重たい。

視線を向けるとティッシュの白い部分がほぼ真っ赤になっていた。

血をすったティッシュが重く感じたのだ。

 

なんか怖くなってきた。

ほおっておけば治るとさっきまで思ってたが何だかマズイ気がしてきた。

でも日曜日の17:00時過ぎに診察してくれる病院ってあるのかな?

 

『オッケーグーグル! 救急病院を教えて!!』

 

『3件あります!』

 

『サンキュー 愛してるぜ!!』

 

『すごくすごく嬉しいです』

 

思わずクーグルにプロポーズしそうになったが指先が赤黒くなっているので我慢した。

 

一番近い病院に電話するとビックリするくらいに事務的で冷たい対応で断られた。

 

対応してくれる病院は無いかと聞いたら2番目に近い病院を教えてもらった。

早速電話してみるととても親切な対応で診察してもらえるようだ。

 

車で30分くらいの距離。

でもよかった。とりあえすお店を閉め車を走らす。

 

思ってたよりも大きな病院で安心した。

受付を済ませ待合室で看護婦さんに簡単な問診をしていただく。

『どんな状況でケガをされましたか』

『仕事中にカッターで指を切りました』

 

ボロボロの半袖短パンにペンキだらけのクロックス

 

明らかに『何の仕事?』と顔に書いてあったので

 

『家具を作る仕事です』と私が言うと

 

『木の匂いがすると思った』と言われなんだか嬉しかった。

 

この頃には血は止まっていたので順番が来るまで読みかけの本を見てのんびりと待った。

 

名前を呼ばれ診察室に。

先生を見てホッとした。

 

お医者様って存在だけで人を安心させるなんて本当にすごいね。

固まった血で指先にへばりついたティッシュを剥がして行く。

『ペアン』『カンシ』など医療ドラマで聞いた単語が聞こえる。

傷口が見えるとさっきより更に赤黒くなっていた。

 

私の大事な左手の人差し指ちゃん。

右手の人差し指は数十年間、鼻の穴の掘削作業で酷使してきたけれど左手は大事に大事にしてきた箱入りちゃん。

 

指先の皮というか肉が半分くらい切れていた。

何故か先日の家具の修理を思い出してしまった。

 

まだパーツが残ってるのでパテ埋めではなく残った部分と本体を接着してつなぎ留める。

わたしならハタガネ(木と木を締める道具)を使用するが先生は細く切ったテープを指先の取れかかったパーツに本体と繋ぎ合わせるように丁寧に数カ所固定して行く。

 

仮固定した部分に私なら接着剤を付けるが先生は半透明の薬を塗り優しくガーゼで包み包帯を巻いてくれた。

職種が変われば修理も違ってくるもんだなと感心して私の指の治療が終わった。

 

ちょと大げさに書きましたがうまくいけば2週間くらいでくっつくそうです。

木なら2日で完全に接着するのになと改めて木の凄さを思い知りました。

 

当分は制作もサーフィンもお預けのようです。

 

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